約 2,035,970 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/987.html
リリカル遊戯王GX 第二話 魔法とデュエルと謎の敵なの! 「保健室が無事なのは不幸中の幸いだったわね」 保険医である鮎川は十代の体に聴診器を当てながら呟いた。 十代とオブライエン以外のメンバーは生徒たちを体育館へ集めている、 二人はこの異世界に飛ばされる前に酷く消耗していた。 デス・デュエル――デュエルをするたびに、身に付けさせられたデスリングにその闘気を吸い取られてしまう恐ろしいデュエル、 十代はそんなデュエルを何度も繰り返すはめになっていたのだ。 最後にデュエルをした時、この世界に飛ばされる直前の事を十代は思い出す。 「あのオレンジの人影……あいつが何かをしたんだとは思うけど……」 「考えるのは後よ。それにしても、困ったわね」 「鮎川先生?」 「保健室のベッド、2つしかないのよ」 すでにここのベッドには先客がいた。 一人はオブライエン、崩落する瓦礫から身を呈して十代を助けた時の怪我で今は寝込んでいる、 そしてもう一人は万丈目 準、黒いコートを着た彼もまた、デス・デュエルの犠牲者の一人だ。 鮎川が悩んでいると、万丈目は突然目覚めてベッドから降りる。 「俺はもういい、貴様が眠れ」 「万丈目、大丈夫なのか?」 「サンダー、貴様のような腑抜けと一緒にするな。……ん!?」 万丈目は自分が寝ていたベッドに目を向け声を上げる。 そこにはどうにも気持ち悪い小さなモンスターが三匹存在していた。 「あら、兄貴お目覚めぇ?」 ―おじゃまイエロー― 攻撃力0 防御力1000 通常モンスター 「なんだ貴様ら! 何故実体化している!?」 「俺達に聞かれてもなぁ」 ―おじゃまグリーン― 攻撃力0 防御力1000 通常モンスター 「どう? 実体化したら俺達も結構イケてない?」 ―おじゃまブラック― 攻撃力0 防御力1000 通常モンスター 心の底から嫌そうな顔をする万丈目だったが、三匹のおじゃま達は楽しそうにその周囲を飛び回る。 はねクリボーまでそれに交ざり、万丈目はさらに驚きを深くする。 「お前の精霊まで!? いったいどういうことだ!」 「外はもっと大変な事になってるドン」 「剣山、みんなは大丈夫だったか?」 「デス・デュエルで倒れていた人も含めて、百人以上の生徒がここに飛ばされてるみたいザウルス。今頃丸藤先輩たちがみんなと話してる頃だドン」 その頃体育館ではちょっとした騒ぎになっていた。 無理もない、ここに来るまでの間に砂漠と化した外の世界を見てしまったのだ、恐怖と不安でいっぱいだろう。 「みんな、落ちついてくれ!」 「落ちつけるわけないだろ! いったい何が起こったんだよ!」 「小惑星が落ちて海が全部蒸発したとか……」 「俺はモンスターを見たぞ! 冗談じゃない、こんなとこいられるかよ!」 ヨハン達の声を聞かず、パニックになった何人かの生徒が外に向かって走り出すが、 いつの間にか出入り口にいたワニ(ジムが背負っていた奴である)によって阻まれる。 「Stop! こういう時は冷静さを欠いた者から倒れていくぞ!」 「でも、これからどうするの? 食糧とか、寝るとことか……」 小柄な少女、早乙女 レイが不安そうにヨハン達へ訪ねる。 彼女は中学一年になったばかりなのだ、デュエルでかなりの腕を持つことから高等部であるアカデミアに特別に編入されたが、 まだ13歳の少女にこの状況はかなり厳しいだろう。 ヨハン達もこの問いにはすぐに答えられなかったが、助け舟が出される。 「食糧に関しては大丈夫だよ、食糧保管庫とかは無事だったからね」 「トメさん!」 「寝床は毛布とかが用意されてるノーネ、人数分以上あるから平気なノーネ」 食堂のおばちゃんとして親しまれているトメさんと、 どこからか大量の毛布を持ってきていたクロノスの言葉に生徒たちは僅かに希望を見出す。 だが、続く会話にまたも落胆してしまった。 「トメさん、食糧はどれぐらいもちそうなんですか?」 「そうだねぇ……節約すれば、一週間はもつかね」 「一週間か……」 ヨハン達は「一週間猶予ができた」と考えるが、 他の生徒たちは「一週間しか時間がない」と考えてしまい、また騒ぎが大きくなっていく。 ヨハン達は再びこの騒ぎを止めるため動くこととなるのだった。 「……あら?」 「明日香さん? どうしたの?」 「そういえば、アモンがいないわ・・・…」 普段からほとんど使われず、こんな状況では誰一人として見向きもしない図書室に一人、アモンはいた。 明らかに人間の物ではない腕が入ったカプセルを目立たない場所に置いて、一人笑みを浮かべる。 「……ん?」 ふと外の様子を見ると、見覚えのない複数の人間がアカデミアに向かって歩いてくるのが見えた。 アモンはしばらく様子を窺い、モンスターの類ではない事を確かめると体育館へと向かう。 アモンに教えられてヨハン達はアカデミアに近づいているという者達を見に外へ出る。 大半が見慣れぬ格好をした女性だったが、意の一番にボロボロの格好の男が大きく手を振りながらこちらへ駈け出した。 「おーい! みんな、俺だー!」 「あれ、この声どこかで聞いた覚えが……」 「確か……誰だっけドン?」 「二人とも、同じ寮の人なんだから思い出してあげて……み、えっと、あれ?」 翔に剣山に明日香まで、誰も男の名前を思いだせないのを見てその男はその場に座り込んでいじけ始める。 「ふっ、いいんだ、わかってさ……どうせ半年以上いなくても誰も気にせずにいたんだ……」 「み、三沢さんしっかり!」 「きっと度忘れしちゃってるだけですって、た、多分……」 慌てて回りの女性――なのは達が男、三沢を励ます。 翔達も名前を聞いてようやく思い出したようで、「ああ、そういえば最近見なかったような……」と頷いて納得する。 「ヘイ、スモールガール、あの三沢って奴はいじめにでもあってるのか?」 「私も会ったことないから……って、その呼び方何だか嫌なんだけど」 ジムとレイが話してるのを横目に、ヨハンは三沢やなのは達に歩み寄る。 ……誤解の無いように言っておくが、遊戯王GXの主人公はヨハンではなく今保健室で寝ている十代なのであしからず。 「俺はヨハン、このデュエルアカデミアの留学生だ。あなたたちは?」 「私たちは時空管理局の魔道士です、えと、自己紹介は後々ということで、とりあえず中に入れてもらって構いませんか?」 十代やオブライエンも話を聞きたい、ということだったのと、 体育館に行ってまた無用な混乱を起こすのを避けるために、ヨハン達は保健室へと集まっていた。 さすがに全員は入れないので、剣山やジム、フリードなどのスペースを取る者は外にいる。 「えっと、その時空管理局っていうのが何なのかはわかったけど……」 なのは達から説明を受け、明日香は困ったように呟く。 確かに今までも異世界だったり、カードゲームをするだけで命を奪われかけたりと非常識な生活だったが、 真正面から堂々よ「魔法使いです」などと言われても信じにくい。 モンスターは信じたじゃないか、という声が上がりそうだが、やはり自分たちと同じ姿かどうか、というのは偏見ではあるが大きいのだ。 「皆さんは三沢さんがこの世界に飛ばされた事故とは違う理由でこの世界に飛ばされたんですよね?」 「はい、あくまで予測でしかないですが」 「そうか……帰る手段は無いんだな」 ヨハンとのやり取りを聞いていた三沢が項垂れる。 彼はシュタイン博士という量子力学の研究をしている人に憧れ、 半年以上前からずっとその研究をしていたらしい(その間誰一人としていないことに気づかなかったのは伏せてある) ある日、実験中の事故によってこの世界に飛ばされてしまいモンスター達から逃げ回っていたそうだ。 「シュタイン博士は、この世には12の次元世界があるとおっしゃっていたが……実際にはもっと無数にあるんだな」 「でも、個人レベルでそこまで見つけるなんて並大抵のレベルじゃないわ、天才なんて言葉じゃ足りないかも」 ティアナの言葉に三沢はどこか嬉しそうな表情になる、自分の憧れの人間が褒められるのはやはり嬉しいのだろう。 それまで黙っていた翔が、恐る恐るなのはへと尋ねる。 「あの……もしかして僕ら、無断で別の世界へ飛んじゃった、ってことで何か罪になったりするんですか?」 「ああ、そんなことは無いですよ、悪意があったというならともかく、皆さんは被害者ですし」 「それにこの世界はまだ管理局の管理下にありません。私たちに強制力はないですよ」 なのはとフェイトの言葉に一同胸を撫で下ろす、 やはりどこか不安だったのだろう、こんな見知らぬ世界で犯罪者扱いはごめんである。 「本局に連絡して皆さんの元の世界を探してもらいますね」 「元の世界が見つかったら、俺たち帰れるのか!?」 「よ、よかったぁ、一時はどうなる事かと……」 十代達は安堵感から一気に緊張が解けるが、 なのは達は逆に表情を強張らせる。 万丈目がそれに気づき、聞きたくないと思いつつも問いかける。 「お、おい……どうした?」 「……フェイトちゃん」 「ううん、私もダメ、エリオ達は?」 「僕たちもダメです……」 「私もです」 「本局との通信が、通じない……」 呆然と呟いたスバルに、十代たちに再び絶望感が蘇ってしまう。 「ど、どういう事だ!?」 「わ、わからない、念話をしようとするとノイズが……ジャミング?」 「みんな、少し離れて」 なのはの言葉に従い、全員が保健室から出る、 十代とオブライエンも大分回復してきたようだ。 なのはの足元に魔方陣が現れ、十代達は「おお!」と驚き――乾いた音を立てて魔方陣が砕け散る。 「な、何が起こったザウルス?」 「ダメ……転移魔法もキャンセルされる」 「そ、それじゃもしかして、私たちも帰れない……?」 「そうなる、ね……」 『んなっ……!』 なのは達の会話から、十代達は希望が断たれた事を知る。 一度期待を持たされてから叩き落とされる方が答えるものだ、翔は沈み込んでしまっているし、レイに至っては不安で顔が青くなってしまっている。 だがヨハンやアモン、オブライエンに明日香といった冷静なメンバーもショックは受けていたもののまだ思考を巡らせる余裕は残っていた。 「と、とにかく、そういうことなら俺達は同じ立場ってことだな」 「そうなるとまずいな、食糧の配分等を考えるとまた騒ぎになるかも……」 「あ、食糧なら大丈夫です」 「数日分なら持ってきていますし、その気になれば一週間ぐらいは水だけでも」 「なるほど、未知の場所へ向かうなら必須のスキルだな」 「そ、そういうものなの?」 食事の心配はしなくていい、というのは助かるが、だからといって状況が変わった訳ではない。 ゴール直前で振り出しに戻ってしまったようなものだ。 「体育館のメンバーにも人数が増えたことを伝えないとな……」 「いつモンスターが来るかわからん、単独行動は控えさせるべきだ」 「俺は全員でいるなど御免だぞ! 窮屈でかなわん!」 全員で話し合い、数人のグループ毎に行動することを決定する。 なのは達は色々試し、念話を始めとした通信手段と転移魔法のみが使えなくなっていて、他の攻撃・防御呪文などは使える事が判明した。 十代達は自力で自分の世界へ帰る方法を、なのは達は魔法を封じている存在を探すことをそれぞれの方針とする。 ――時は過ぎ、夜 「……?」 「えっと、ごめんマルタン君、ちょっと着いて来て欲しいんだけど……」 毛布に包まり寝ていた男子生徒、加納 マルタンは突然レイに起こされゆっくりと立ち上がる。 「どうしたの……?」 「や、えっとそのー……とにかく一緒に来て!」 レイは何故か頬を染めながら無理矢理どこかへ連れて行こうとする。 マルタンは首を捻りながらついて行くのだった。 「馬鹿な!?」 自らの組んだグループから密かに離れ、アモンは図書室へ来て驚愕の声を上げた。 カプセルに入っていたはずの腕がなくなっていたのだ、無論一人でに出ていくわけがない――とは言いきれなかった。 「馬鹿な、俺以外を選んだというのか……!?」 アモンは歯を食いしばり、とても十代達の前にいた時からは想像できない怒りの表情に変わっていた。 オレンジ色の人影、そうとしか形容できない「それ」は跳ぶようにアカデミアの廊下を進んでいた。 『闇……心に大きな闇を持つ者……』 突然現れた魔法使い達にもそれぞれ闇はあったが、どれも光に抑え込まれてとても憑けそうにない。 とりあえず外部との連絡手段は断ってやった、あいつらがいるだけなら構わないが「彼」まで連れていかれては困るのだ。 その影は更に進んでいき、二つの人影を発見する。 『見つけた……』 影はスピードをあげ、人影――レイとマルタンへと近づく、そして…… 「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」 レイの悲鳴が夜のアカデミアに響き渡った。 続く なのは「本局との連絡は途絶え、十代君達の元の世界の人達も手だしができない……」 十代「それでも諦めないぜ! デュエルも人生も、最後の1ターンまで分からないんだ!」 次回 リリカル遊戯王GX 第三話 飛べスバル! ペガサスに乗る魔法拳士! 十代「こ、こんなデュエルもありなのかぁ!?」 十代「今回の最強カードは、って今回はデュエルしてないんだったか」 なのは「なら、今回はこれで!」 機動六課 フィールドカード 「スターズ」「ライトニング」「ロングアーチ」の名前がつくカードの攻撃力と防御力が300ポイントアップ そのカードが破壊された場合、デッキからカードを一枚除外することで破壊を無効にする 十代「次回もよろしくな!」 なのは「ガッチャ! なんちゃって♪」 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/yarunikuman/pages/19.html
東ブロック(試合会場:会津若松城) キン肉マンチーム 知性チーム 技巧チーム 運命の王子 キン肉マン キン肉マンスーパーフェニックス パーソク・デ・できる夫 出場選手 アレキサンドリア・ミート マンモスマン ゴクウブラック ジェロニモ ジ・オメガマン ゲッターロボ 火引弾 不破刃 河城にとり ウォーズマン フレイザード まどかタイタス ペコリーヌ ニューソク・デ・やる夫 ペンタゴン キング・トーン サンシャイン 横島忠夫 テリーマン リンネ・ベルリネッタ テリー・ボガード ベンキマン アンジュ・カトリーナ スペシャルマン ザンギエフ キントレスキー ティーパックマン 神 無し 知性の神 技巧の神 後援者 キン肉真弓 カロッゾ・ロナ 禪院直哉 聖白蓮 フェニックス巴 ホルモン・ビビンバ 西ブロック(試合会場:熊本城) 残虐チーム 強力チーム 飛翔チーム 運命の王子 キン肉マンソルジャー キン肉マンビッグボディ キン肉マンマリポーサ 出場選手 卑怯番長 桐生一馬 諸星きらり 世直しマン ライナー・ブラウン ハサン・サッバーハ ザ・ゴッドシャーク レオパルドン ミスターVTR ハンター・ナナシ 爆腑 ヲ級 ロビンマスク デミトリ・マキシモフ 佐山・御言 ソルジャー・キル子 ニンジャスレイヤー シルクァッド・ジュナザード ブラックホール モンゴルマン サンズ ブロッケンJr. カナディアンマン ジャギ クラウス・V・ラインヘルツ でっていう ギコ 神 残虐の神 強力の神 飛翔の神 後援者 木原数多 エテモン 鬼舞辻無惨 ※出場選手は東西リーグ戦開始時のメンバー 各試合選出メンバー・試合結果(ネタバレ注意) + 東ブロック第一試合 東ブロック第一試合 知性チームVS技巧チーム 知性チーム 技巧チーム 先鋒 ニューソク・デ・やる夫 ティーパックマン 次鋒 キントレスキー ペンタゴン 中堅 マンモスマン まどかタイタス 副将 ジ・オメガマン 横島忠夫 大将 キン肉マンスーパーフェニックス パーソク・デ・できる夫
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1133.html
リリカル遊戯王GX 第八話 恐怖のバーンデッキ! 守り抜けブラストフレア! なのはが人生初の告白に困惑している頃、天井裏では十代とヨハンの二人が保健室へ向けて進んでいた。 「っ!? 十代、あれを!」 「保健室の天井が、開いてる!?」 真下には保健室があるであろう位置、 そこの天井の一部が無理矢理破られていた。 すでにゾンビが入り込んでいたのかと焦り、二人は急いで保健室の中へと降り立つ。 「鮎川先生、レイ! 無事か!?」 荒れている室内を見渡し、ベッドに眠っているレイとその傍に座っている鮎川を発見する。 無事だったとほっとしながら声をかけるが、鮎川はこちらを向こうとしない。 「鮎川先生? 薬を持ってきたぜ、早くレイに……」 「……薬? ああ、そうだったわね……でもね、ダメなのよ」 「え……?」 それはどういう意味なのか、 もうレイは手遅れだったのか、自分たちが来るのが遅すぎたのか。 十代は愕然とするが、どうにも様子がおかしい鮎川にヨハンは警戒を強める。 「だって……レイちゃんにはこのまま仲間になってもらわないとねぇ!」 「なっ、鮎川先生も!?」 「十代、気をつけろ!」 ヨハンの言葉に回りを見ると、すでに入り込んできていたであろうゾンビ生徒達が物陰から現れる。 二人はディスクを構えるが、鮎川が他のゾンビ達を制止した。 「ダ・メ・よ……この子達は、私の獲物なんだから、ウフフ……」 「くっ、鮎川先生をなんとかしないと、レイに近づけない……!」 「鮎川先生、俺が相手だ!」 ヨハンはレイの側から鮎川を引き離そうと考えるが、 その間に十代が前に出てディスクを展開する。 「十代!? ここは俺が――」 「いや、ヨハンは砂漠でデュエルをしちまってる! ヨハンはレイを頼む!」 「くっ……わかった!」 鮎川がディスクを展開する一瞬の隙をついて、ヨハンはレイを抱きかかえてその場を離れる。 だが、扉の前に他のゾンビ生徒が立ちふさがりヨハン達の逃げ場を塞いでいた。 「ダメよ……みんなここで仲間になるんだから……」 「鮎川先生……ちくしょう、デュエル!」 ―十代 LP4000― ―鮎川 LP4000― 「私のターン、堕天使ナース-レフィキュルを召喚」 鮎川の場に、全身を包帯で巻かれた悪魔の羽を持った看護師のようなモンスターが召喚される。 ―堕天使ナース-レフィキュル― 攻撃力1400 守備力600 効果モンスター その召喚された時の衝撃が狭い室内で暴れまわり、壁や天井の一部が軋みをあげる。 「うわっ! こんなところだと、モンスターを召喚するだけで一騒動だぜ……」 「二枚のカードを伏せ、ターン終了よ」 予想以上の衝撃に部屋が大丈夫か不安に思いながらも、十代はカードを引く。 「俺のターン、ドロー! 魔法カード融合を発動、手札のフェザーマンとバーストレディを融合! フレイムウイングマンを特殊召喚!」 ―E・HERO フレイムウイングマン― 攻撃力2100 守備力1200 融合・効果モンスター 翔達から逃げる時に呼び出したしたモンスターを再び召喚するが、その瞬間鮎川の場のカードが発動する。 「永続トラップ発動、ダーク・キュア! 相手の場に召喚されたモンスターの攻撃力の半分の数値分、相手のライフを回復する!」 「なっ、俺のライフを回復? いったい何を……」 「更に堕天使ナース-レフィキュルの効果発動、相手のライフ回復効果が逆転する。喰らいなさい!」 「うわぁぁぁぁ!! く、くそっ……そういうことかよ……!」 ―十代 LP2950― 「十代!」 「だ、大丈夫だ! 要はレフィキュルを倒せばいいんだろ、攻撃力はフレイムウイングマンのほうが高いぜ!」 「残念ね、永続トラップ、サディスティックポーション発動。相手にカードの効果でダメージを与えたターン、一体のモンスターの攻撃力を1000ポイントアップ!」 ―堕天使ナース-レフィキュル― 攻撃力2400(ターン終了時まで) 「なっ! フレイムウイングマンの攻撃力を上回った!?」 「ちゃんと予防接種はしないとダメよ? うふふ……」 「くっ……俺はカードを三枚伏せ、ターンエンド……!」 ティアナの放った魔力球が斧を持った戦士のモンスターに斬り捨てられる。 ―アックスレイダー― 攻撃力1700 守備力1000 通常モンスター その隙に脇を駆け抜け前方の敵の配置を確認する。 スバルもティアナもほとんど魔力が残っていない、その上スバルはエリオとフェイトの二人を背負っているため反撃することもままならなかった。 最小限の牽制をかけてわずかな隙を100%以上活用、それでもこの包囲を突破できるかはわからない状態だ。 「ティア、また来るよ!」 「わかってる! 二人を落とさないでよ!?」 ディスクを構えるゾンビに向かってクロスミラージュを向け、 その射撃から主を守ろうと巨大な盾を持ったモンスターが射線上に割り込んでくる。 ―ビッグ・シールド・ガードナー― 攻撃力100 防御力2600 効果モンスター ティアナはその巨体と盾によって視界が塞がれたそのゾンビを無視し、そのまま走り抜ける。 最小限、最低限の動きで包囲網を突破し――背後から聞こえてきた悲鳴に足を止めてしまう。 「スバ――っ!?」 「ティア、避けて!!」 目を覚ましたエリオが暴れ、それを抑えながらスバルが叫ぶが、その瞬間にはティアナの体に飛来した鎖が巻きつき捕らえられていた。 焦りながら鎖をはずそうともがくが、鎖は更にティアナの体を締め上げる。 スバルもフォローに回りたかったが、フェイトを背負いバインドがかかっているとはいえ暴れるエリオを抑えていては身動きがとれない、 そんな二人へ「鎖付きブーメラン」を持ったアックスレイダーが迫るが、白い影が飛び込んできた。 「フリード!」 「チビ竜!?」 突然現れたフリードに驚く間もなく、アックスレイダーへ火球を放って吹き飛ばし、フリードはエリオの側へと飛んでくる。 「キュル……」 「ふ、フリード、ダメだよ……今のエリオは……!」 「フリードも、戦いたいのかい……?」 フリードはスバルに抑え込まれながらも呟くエリオの瞳をじっと見つめ―― 「キュウ」 火を吐いた。 「うわぁ! エリオー!?」 「ち、力づくで黙らせるって……キャロと一緒の時は気付かなかったけど、意外と鬼なのね、あんた……」 スバルは再び気絶したエリオを抱きかかえ、なんとか鎖から脱出したティアナと共に走り出す。 フリードが前に出てゾンビやモンスターたちを牽制していく、 頭数が一人増えるだけで取れる戦略は膨大に増える。 それは逆に非効率的な行動を取りやすくもなるということだが、ティアナはそんなミスは犯さず、フリードとスバルに的確な指示を出しながら通路を駆け抜けていった。 アモンが戦っていたゾンビが倒れ伏す。 デュエルに勝利し、デスベルトによる虚脱感に顔を顰めながらもこれからの行動に関して思考を巡らせる。 このまま保健室に向かっても、十代達がすでにレイを救助している、もしくは敗北してゾンビ化しているかのどちらかだろう、 ならば先に体育館へと向かい、守りを固めていた、と言う方がメリットが大きい。 「ちっ、長々と考える時間もないか」 起き上がり始めたゾンビに舌打ちしながら、体育館へと駆け出していく。 「待ってろよ十代、すぐに行くぜ!」 ゾンビを倒し、ジムは迷わず保健室へと向かっていた。 だが、彼の前に新たなゾンビ達が立ちふさがりディスクを展開する。 「くっ! 次から次へと……このままじゃ……!」 オブライエンはゾンビ達から逃げながら思考を巡らせる。 なのはの援護で大分数は減ったが、だからといってまともに戦ったのでは別のゾンビが来る可能性が高い、 向こうも手間取っているのか、なのはが駆けつけてくれる様子もなく、オブライエンは自力でゾンビ達を撒くルートを考えそちらに進路を変えた。 なのはは早くオブライエンの援護に向かいたかった、それなりの数は引き付けたとはいえ、まだまだ彼に向かったゾンビは多いのだ。 だが――それ以上にこの目の前の状況をなんとかしなければならなかった。 「うおおおおお! 彼女には触れさせない!!」 「……ユーノくーん……」 恐らくなのはとの距離が最も近いであろう無限書庫の室長の名前を思わず呟きながら、なのはは頭を抱える。 バスターブレイダーは確かに強い、力だけでなく、その剣技も目を見張るものがあった、 自分とフェイトの二人がかりで戦ってもかなり苦戦をするであろう、そんな彼(?)が味方になってくれたのは心強いのだが―― 「今度こそいくよ、レイジングハート!」 『……All right』 疲労など感じないはずのレイジングハートの声が疲れたように聞こえたのはなのはの気のせいではないだろう。 何しろ―― 「アクセルしゅ――」 「うぉりゃぁ!」 『……』 なのはが狙いを付けた端からバスターブレイダーが斬り裂いていき、なのはは先ほどからさっぱり攻撃ができていない、 どうやら「なのはが迎撃態勢に入る」→「なのはが狙ってる敵はなのはを攻撃しようとしている」→「やらせるか!」という凄まじい思考が働いているようだ。 このままではバスターブレイダーに任せるしかなく、一体ずつしか倒す術のない彼のみではここにいるゾンビ達をたおすのには時間がかかってしまう。 「ば、バスターブレイダーさん……でしたっけ?」 「ええ、その通り! 何かあったか!? おおっとさっきの返答ならばこいつらを倒してからで構わないぞ!」 『マスター、後ろから撃ち抜きましょう。その方が早いと判断します』 「レイジングハート、落ち着いて……そ、その、私仲間を待たせているので、急ぎたいのですけど……」 何故か敬語になってしまうなのはに、バスターブレイダーは少しだけ思案し……大きく頷く。 そしてどうするかと思ったら――今まで迎え撃っていた戦法を突如変え、相手へ目掛けて突っ込んでいく! 「ふ、ふぇ!? そんな無茶な!」 「足りない! 足りないぞぉ!」 心配するなのはを余所に、一斉に襲いかかってくるモンスターたちを次々と斬り裂きながらバスターブレイダーは叫ぶ。 「貴様たちに足りないもの、それは!」 次々と散っていくモンスターたちにゾンビは焦り、カードをセットしていく。 「情熱思想理念優雅さ勤勉さぁ! そしてなにより――」 どこかで聞いたようなセリフを吐きながら大きく剣を振りかぶり―― 「愛が足りないっ!!」 最後の一体を真っ二つに切り裂いた。 なのははあまりの光景に唖然とするばかりで、バスターブレイダーはそんな彼女に兜の下で笑いながら振り返り――砕け散る。 「え……!?」 「トラップカード、道連れ発動……自分のモンスターが破壊された時、相手のモンスターを一体破壊する……」 「そ、んな……!」 別段、なのははバスターブレイダーを仲間だとも思ってはいなかった。 戦いの中で召喚された以上、どちらが勝ったにせよそのバトルが終了すればその時点で消えてしまう運命なのだ。 いくらなのはでも、そのような存在に情を持つほど愚かではなく、むしろしつこい求愛から逃れられて助かったぐらいである。 そう、だから―― 『……マスター』 「……本当に、カードゲームなんだね。こんなにも、あっさりと……」 だから、なのはは冷静だった。 冷静に――怒りを感じていた。 相手へなのか、それとも自分へなのか、何に向けての怒りなのか、それすらも分からぬまま……なのははレイジングハートを振りかざす。 「エクシードモード……ドライブ!」 エクシードモード、なのはの強化形態であり、以前無茶をして倒れたなのはの事を気遣われ負担を減らしたモードでもある。 姿の変わったなのはに怯えるように、ゾンビは慌ててカードを発動させる。 「マジックカード……融合、手札のキャノンソルジャーと融合生物を融合し、迷宮の魔戦車召喚……」 全面にドリルが三つついた、巨大な戦車が現れなのはへと突撃する。 ―迷宮の魔戦車― 攻撃力2400 防御力2400 融合モンスター まともに食らえばなのはの体などあっさりと吹き飛ばされてしまうだろう、 だからこそ――撃ち抜く。 「ディバインバスター!」 「っ!?」 先ほどと比べ遥かに高密度、高精度になった魔力砲撃が魔戦車を貫き破壊する。 このモンスターはなのはが撃ち負けたバスターブレイダーにも迫る攻撃力をもっていたはずだが、それがあっさりと倒されたことにゾンビ達はわずかに動揺を見せた。 「レイジングハート、一気に片付ける!」 『All right!』 ゾンビが次の手を打つよりも早く、なのはは高速移動魔法で天井近くまで舞い上がりゾンビ達が全員見渡せる位置で構える。 なのはが魔力を解き放つ寸前になってようやく何匹かのモンスターが召喚されるが――遅い。 「アクセルシューター……広域爆撃!」 ティアナのクロスファイアを遥かに超える、視界を埋め尽くすほどの魔力球が放たれる。 いくらなのはであっても、この量の魔力球を制御しきることは不可能だ、 ならばどうするのか――簡単である、制御しなければいい。 「シュート!」 無数の魔力球、それが全てなんの制御も受けずに落下していく! 誘導制は確かに0だ、だが、この目の前全てが桃色の光に埋め尽くされている状態で、魔力を扱えない人間にそれが何の気休めになるだろうか? 数秒後……そこには倒れ伏したゾンビ達と、ゆっくりと降りてくるなのはの姿があった。 「私のターン! 魔法カード、篝火を発動、デッキからレベル4以下の炎属性モンスター、燃える藻を一体手札に加える……さらに、魔法石の採掘を発動!」 「二枚カードを捨てて墓地の魔法カードを一枚手札に加えるカード……まさか!?」 「そう、私は二枚の燃える藻を墓地へ捨て、篝火を手札に加える。そして燃える藻の効果発動! このカードが墓地へいった時、相手のライフを1000回復する!」 「その効果は……レフィケルによって逆転する!? 十代!」 「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」 「さらに、サディスティックポーションの効果でレフィケルの攻撃力アップ!」 ―十代 LP950― 大幅にライフを削られ、十代は堪らずその場に膝をつく。 「なんてデッキだ……バトルをせずに、どんどんライフを削られていく……!」 「まだよ、私はもう一度篝火を使い三体目の燃える藻を引き、攻撃表示で召喚! さあ、フレイムウイングマンに負けてらっしゃい!」 ―燃える藻― 攻撃力500 守備力1500 効果モンスター 燃える藻ではフレイムウイングマンには勝てない、そしてそのまま墓地に行けばレフィケルによるコンボによって十代は敗北する…… 咄嗟に十代は場のカードを発動させてその攻撃を凌ぐ。 「トラップカード、HEROバリア! E・HEROへの攻撃を一度だけ無効にする!」 「よし、なんとか凌いだ……!」 「ふふ、でもレフィケルの攻撃は防げないわよ?」 鮎川の言葉と同時に、レフィケルの髪が刃となってフレイムウイングマンを斬り裂き破壊する。 ―十代 LP650― 圧倒的に有利な立場となり、鮎川は笑みを深くし――十代も笑みを浮かべる。 「っ!?」 「トラップ発動! HEROシグナル! デッキからE・HEROと名のつくレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!」 「なっ、十代正気か!? お前のライフじゃ、何を呼び出しても致命傷だぞ!」 「俺はワイルドマンを特殊召喚!」 ヨハンの忠告を流し、一人の屈強な戦士が召喚される。 ―E・HERO ワイルドマン― 攻撃力1500 防御力1600 効果モンスター 「ふふ、この瞬間、ダーク・キュアはつど――発動、しない!?」 「ワイルドマンは孤高の戦士、罠になんかかからないぜ!」 「トラップを無効化するモンスター……!」 「更に魔法カード、天使の施しを発動! カードを三枚引き、二枚を捨てる」 引いたカードを見て十代は笑みを増す。 このターン十代に効果ダメージはないため、レフィケルの攻撃力は1400のまま…… 「いけ! ワイルドスラッシュ!」 「くっ!」 ―鮎川 LP3900― 鮎川のコンボの基点であるカードを破壊するが、十代は攻撃の手を緩めない。 「伏せカード発動、リビングデッドの呼び声! 墓地からエッジマンを特殊召喚する!」 ―E・HERO エッジマン― 攻撃力2600 守備力1800 効果モンスター 天使の施しによって墓地にいったエッジマンが場に召喚され、更にアンチ・キュアの効果で十代のライフも回復する。 ―十代 LP1950― 「しまった……!」 「いいぞ、レフィケルがいない今、回復効果はそのまま適用される!」 「まだまだぁ! エッジマン、燃える藻に攻撃!」 「くぅっ!」 ―鮎川 LP1800― ―十代 LP2950― ライフポイントで逆転され、鮎川は顔を顰め――続けて出された十代のカードに動きを止める。 「速攻魔法発動! 速攻融合! 場のワイルドマンとエッジマンを融合し、ワイルドジャギーマンを召喚!」 ―E・HERO ワイルドジャギーマン― 攻撃力2600 守備力1800 融合・効果モンスター ―十代 LP4250― 「これで、止めだ!」 「きゃああああ!!」 ―鮎川 LP0― ワイルドジャギーマンの攻撃を受けて鮎川が倒れ伏す。 だが、その一撃が止めとなり、デュエルの余波を受け続けていた保健室が崩壊を始めてしまう。 「や、やばっ!」 「十代、こっちだ!」 レイを抱きかかえたままヨハンが駆け出し、十代もそれに続く。 保健室の扉はゾンビ達が塞いでいたが、この崩壊によって崩れてしまった壁から外に脱出する。 「いってぇ……よ、ヨハン! レイは無事か!?」 「ああ、よく眠ってるよ」 「はは……こんな状況で寝てられるなんて、大した奴だぜ……っ!?」 呟きながら保健室を振りかえり――硬直する。 保健室「だった」場所は瓦礫の山となっており、十代は鮎川や他のゾンビ達が潰されてしまったのではないかと慌てて駆け寄ろうとするが―― 「逃がさないわよ……十代君……デュエルしましょう……!」 「あ、ゆかわ先生……」 瓦礫の山から這いずり出てくる姿に、十代は恐怖する。 その姿は本当にゾンビのようで、そんな状態でもデュエルをしようと近づいてくる。 「十代君、ヨハン君!」 「なのはさん!?」 なのはは無事な三人の姿を見て胸を撫で下ろすが、鮎川達が立ち上がろうとするのを見てヨハンからレイを受け取る。 「急いで体育館へ!」 「で、でもオブライエン達は!?」 「大丈夫、みんなには誘導弾を送っておいた、安全なルートを見つけられるはず!」 「よし、十代行くぞ、ゾンビ達が集まってくる!」 「スバル……生きてる?」 「なん、とか……」 「キュル―」 体育館まであと少しの所まで来ながら、スバル達は通路の影に隠れながらへたり込んでいた。 完全に体力と魔力を使い果たしてしまっていた、フリードが心配そうに鳴くが、それに応える余裕さえない。 とにかく少しでも回復を……そう考えた直後、まるで眼球のようなモンスターが二人の目の前に現れる。 ―異次元の偵察機― 攻撃力800 守備力1200 効果モンスター 「なっ――!」 「ティア、来るよ!」 影から顔を出すと、ゾンビ達がこちらに向かって真っすぐにやってきていた。 目の前のモンスターは行動をしようとせず、ただ辺りを漂うだけだ、 ――このモンスター、まさかレーダーの役割を!? ティアナはすぐさま撃ち落とそうとするが、腕は上がらず、魔力球も生成できないことに気づく。 「まずっ……チビ竜!」 ティアナの合図でフリードがモンスターを破壊する。 だが、すでにゾンビ達はすぐそばまで来て――突然現れた恐竜に吹き飛ばされた。 「え……!?」 「よかった、間に合ったザウルス!」 剣山が二人へと駆け寄り、エリオとフェイトを抱え上げる。 呆然とする二人へ少し申し訳なさそうにしながら説明する。 「キャロちゃんには二人を信じるって言ったけど、俺に混ざっている恐竜さんのDNAが何かを伝えてきたんだドン」 「きょ、恐竜のDNA……!?」 「それで二人を助けにきたザウルス、俺について来て欲しいドン!」 二人が色々と突っ込むより先に、剣山は呼び出したモンスターの後に続き走りだす。 慌てて二人も限界を告げる体を酷使しながら後に続いていった…… 続く 十代「やばいぜ、みんな空腹が我慢できなくなってきちまった!」 なのは「みんな落ち着いて! ここで仲間割れをしても意味がないよ!」 次回 リリカル遊戯王GX 第九話 学園分裂!? 腹ぺこデュエル! 十代「こうなったら、ヨハン達に全てを託すぜ!」 なのは「おかしい、このデュエル……まるで私たちの目を集めるかのような……」 なのは「今回の最強カードはこれだよ!」 ―フリードリヒ― 光属性 ドラゴン族 ☆4 攻撃力1300 守備力800 このモンスターが召喚された時、相手の場の魔法・罠カードを一枚破壊することができる。 なのは「フリードの真の力はキャロがいた時に発揮されるんだ♪」 十代「次回もよろしくな!」 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1281.html
魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 第十一話「天覇絶槍」 「周りのすべての人間は、自分のための道具に過ぎん。そのくせ君達は、自分に向けられる愛情が薄れるのには臆病だ。 実の母親がそうだったんだ・・・。君もいずれ、ああなるよ・・・。間違いを犯すことに怯え、薄い絆にすがって震え、 そんな人生など、無意味だと思わんかね・・?」 「あ・・・あ・・・・。」 スカリエッティの言葉に顔を歪めるフェイト。 その体はスカリエッティの生み出した赤い線で縛られている。最初はトーレ、セッテ相手にもなんとか太刀打ちできたのだが。 「さて・・・・私はどうしたものかな。」 彼の横にいる男が現れたせいで一気に形勢が逆転してしまったのである。男の名は松永久秀。この世界に飛ばされてスカリエッティに協力している男だ。 彼等の拘束と爆破のコンボで次第に押されはじめ、今に至る。 バリアジャケットは煤にまみれ、いたるところに切られた跡が。一方の二人は無傷。 まさに圧倒的、という所だろうか。そんな中に少年と少女の声が響く。 「違う!!」 叫んだのはモニターの向こう側にいるエリオとキャロ。横には伊達政宗と片倉小十郎の姿も見える。 二人は少し笑っている。そして次に口を開いたのは政宗だ。 「HEY!そこのフェイトとか言う嬢ちゃん!今のアンタに必要なモン・・・それは勇気だ。」 そう言うとエリオとキャロの頭にポン、と手を乗せる。 「それにこいつら、利用されてるなんて微塵も思っちゃいねぇ。ほら、言ってやんな。」 手を離し、政宗は鼻で笑うと腕を組んで背を向ける。二人は互いの顔を見て頷く。 再びモニターへ目を向け、口を開いて自分達が今、言わなければならないことを言葉にする。 「無意味なんかじゃない!」 「僕達は、自分で自分の道を選んだ!」 「フェイトさんが、行き場のなかった私にあったかい居場所を見つけてくれた!」 「たくさんの優しさをくれた!」 「大切なものを守れる幸せを教えてくれた!」 「助けてもらって、守ってもらって、機動六課でなのはさんに鍛えてもらって。」 「やっと少しだけ、立って歩けるようになりました。」 政宗は二人の言葉を聞き、普段の彼にはない、穏やかな微笑をする。 フェイトの心には少しずつ、少しずつ。希望の光が。 「フェイトさんは、何も間違ってない!」 「不安なら、私達がついてます!困ったときは助けに行きます!」 「もしも道を間違えたら僕達がフェイトさんを叱って、ちゃんと連れ戻します!僕達が・・・皆がついてる!」 「だから負けないで!迷わないで!」 そして二人の声が、重なる。それはフェイトの心に、光を灯す言葉。 「「戦って!!」」 言葉を聞いた瞬間、フェイトの体の中で何かが爆発したかのように魔力が溢れる。魔力はフェイトの体を包み込むように展開している。 「オーバードライブ…真・ソニックフォーム。」 『SONIC DRIVE』 フェイトの声を聞き、バルディッシュが金色の光を放つ。魔力はさらに上昇。そして魔力の柱へと形を変えた。 思わず身構えるトーレとセッテ。フェイトはゆっくりと目を開いて今の思いを言葉に。 「ごめんね・・・ありがとうね。エリオ、キャロ。」 バリアジャケットは今までのとは違い、マントを無くし、レオタードに近いものとなっていた。 魔力で少し浮いていた足をしっかりと地につけ、バルディッシュを優しく抱える。 「疑うことなんて・・・ないんだよね。」 金属音とともにカートリッジがリロードされるとバルディッシュが二本に分かれ、二本を両手に握る。 「私は弱いから・・・迷ったり、悩んだりをきっと、ずっと、繰り返す。だけど、いいんだ・・・・!」 体を回転させて双剣を構える。目は絶望という汚れは消え、光が宿る。その光は決して消えることのない、強い信念の表れ。 目の前にいるスカリエッティ達を睨む。 「これも全部・・私なんだ!」 スカリエッティが手を動かすと地面が爆発。しかし爆風の中からフェイトが現れバルディッシュを横に凪ぐ。 突然のことにセッテは回避しきれずに手に持っていたブーメランブレードを破壊され、倒れる。 手を握る動作をすると地面から赤い線がフェイトを捕らえようと迫る。赤い線を避け、斬り、敵へと進む。 次に立ちふさがったのはトーレだ。インパルスブレードとバルディッシュの刃がぶつかり合い、火花を散らす。 フェイトは宙で一回転、トーレはその隙を突こうとIS、ライドインパルスを発動。紫の光となってフェイトを追う。 空中で激しく激突する金色の光と紫の光。トーレの頬が切れ、フェイトの肩にも軽い切り傷が。 一回止まると二本に分かれたバルディッシュを一本に装着。大剣の姿、ザンバーフォームとなる。それでも迫ってくるトーレに向かいバルディッシュを振り下ろす。 「はぁぁぁぁぁぁっ!!」 防御したトーレだがしばらくするとインパルスブレードが砕け散った。スカリエッティと松永の横を過ぎ、壁に激突して倒れる。 次にスカリエッティへと向かうが顔に何かがかかる。 「うっ・・・!!」 目に入ってしまい、そのまま落下するフェイト。かろうじて目を開けると松永が立っていた。手には砂のようなもの。 「それは火薬かね?」 「そういうことだ。ものは使いよう・・・とも言うだろう?」 目を擦りながら立ち上がり、再び構えようとする前に顔面の真横に小さな爆発が起きる。 「ああぁっ!」 小さいとはいえ吹き飛ばすには十分威力がある。壁にぶつかり、うなだれるフェイト。 額からは血が流れ、ゆっくりと目を開けるとフェイトを守るように赤い魔方陣がそこにあった。まさに溶岩の如く。 赤い魔法陣から何か出てきた。揺らめく火の粉。火の粉は火に。火は炎に。炎は火炎に。どんどん大きさを増す。 そして爆発。 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 中から出てきたのは人。赤いコート、赤いハチマキに槍二本。首にかけているのは六文銭。 若き虎が、フェイトの前に降り立つ。槍の切っ先をスカリエッティと松永に向ける。 「忠勝殿との色々な義により、助太刀いたす!!うおぉぉぉぉぉぉっ!!」 槍を交差させ、天に掲げる。 「天!!」 交差させた槍を一回離し、足元でまた交差させる。 「覇!!」 切っ先をまた二人に向ける。 「絶槍!!」 さすがの二人も突然のことで少し驚いているようだ。とはいっても少し目を見開いただけでたいしたリアクションではないのだが。 若き虎はあたりに炎を揺らめかせ、鋭き眼光を向ける。 「真田幸村、見ッ参ッ!!」 突然現れた赤き武将、真田幸村。そんな乱入者にも冷静に対処し、手を動かし赤い線を出現させるスカリエッティ。 襲い来る赤い線を槍で切り裂く。槍の先端には炎が宿り、描いた軌道には火の粉が降り注ぐ。 最後に火薬を投げて腰に挿してあった刀で地面を擦り、生じた火花で火薬を爆発させる。 だが、それぐらいで幸村は止まらない。煙を掻き分け尚も雄たけびをあげながら二人に向かってくる。 交わるスカリエッティがはめているグローブの刃と槍の刃。 「燃えよ・・・我が槍、我が魂!!命の限り道を開けぇ!!」 主の雄叫びに答えるように槍に宿った炎が大きくなる。スカリエッティの刃が焼け、溶けていく。 幸村は槍を引き、相手の体勢を崩すと二本の槍を一本に連結させて回転。スカリエッティを宙へと飛ばす。 「大ぃ車輪!!」 飛んできた方向にはフェイトがいる。バルディッシュを構えてまた打ち上げる。 幸村はスカリエッティの落下している真下に走る。大地を蹴り、跳んだ後に回転、槍二本の横凪ぎでスカリエッティを叩き落す。 「朱雀翔!」 叩き落してバウンドした後も幸村は逃さない。降りて目の前に立つとまた槍を一本に連結。拳に炎が集まっていく。 「虎炎!!」 炎の拳はスカリエッティの顔面に直撃、宙で人形のように吹き飛び、やっと倒れることを許された。 直撃した顔は火傷だけではなく、大きく歪んでいた。 「ほう・・・・真田幸村か。これはこれは、予想外の客だな。」 「永松久秀ぇ!今までの悪行、この真田が許さん!!」 「はっはっは、相変わらず熱いな。卿は。」 「問答無用!!虎炎!!」 炎の拳を突き出すが刀で防御され、押し返される。直後に刀を振り下ろすと胸に切り傷が入る。 素早く切り傷に火薬をかけて刀を擦り火花を当てる。至近距離の爆発を避けれるはずもなく吹き飛んだ。 「うぐ・・・ごふっ・・・・!!」 胸から溢れる大量の血。それでも幸村は立ち上がり、槍を構える。 フェイトもそんな彼を見てバルディッシュを構える。 「!?」 「貴方だけに戦わせるわけにはいきません・・・・!!」 幸村とフェイトは顔を見合わせると少しだけ笑い、また真剣な表情で松永を見る。 まず先手を切ったのは幸村だ。槍から炎を吹き出し、自身は回転。回る速さはどんどん増していき、松永に近づく。 爆発で押し返そうとするが炎に守られ、止まらない。 「ぐあぁぁぁあ!?」 炎は松永を身を包み、焼く。幸村は横を通り過ぎて槍を連結。腰を低く構えてじっと待つ。 続いて接近したフェイトはバルディッシュを振り上げて松永を宙へ。落ちてきたところを炎を纏った槍を斜めに斬り上げて吹き飛ばす。 「千両花火ぃ!!」 「はぁぁぁぁあぁぁっ!!」 千両花火でまた吹き飛んだところをバルディッシュの一撃が襲う。気を失った松永は壁をぶち抜いて倒れた。 勝負はついた。フェイトが笑顔で駆け寄ると幸村の表情も笑顔に変わる・・・・が、次第に赤くなっていく。フェイトが首を傾げて近寄る。 「ななななななななんと破廉恥な格好をしとるのだお主はぁ!?」 戦いの最中で気がつかなかったがフェイトの格好はレオタードのように露出が高いバリアジャケット。 まぁ、これで反応しない人がいるとしても女性に慣れていない幸村には多少刺激が強かったようだ。 「え・・・・えぇぇぇぇっ!?」 思わずフェイトも顔を赤くして腕を組んで胸元を隠す。 赤くなり硬直する幸村と同じように顔を赤くして体を縮みこませるフェイトという、戦いの後とは思えない光景が後に駆けつけた伊達政宗のツッコミがあるまで続いたという。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1886.html
仮面ライダーリリカル電王sts第九話 「ドラゴンズ・ダンス」 二匹の龍がオウルイマジンRに迫るなか、倒れているティアナに迫る影。名はオウルイマジンL、つまり同型の二号実験体である。 「見てろよ、電王。」 そしてオウルイマジンLは突如、ティアナを無理矢理掴むと大声で叫んだ。 「こいつがどうなってもいいのか!」 「ティア!」 「電王、これで手を出せまい?」 余裕の笑みを浮かべながら喋るオウルイマジンL。しかし二人共まるで何かに気付くと微笑んだ。 「何がおかしい?」 「あなたは、何処を見てるの?勝ち誇るなんて馬鹿げてる…」 「ふ、フザケンナァ!」 『sonic move』 「な、しまった!」 そう言って右手のガトリングガンを向けるオウルイマジンL。しかしその時、蒼き閃光がその場を駆けティアナを助け出した。 その閃光の正体は赤き髪に青のメッシュを入れ、眼鏡を掛けた少年。 「全く、何で僕が…。ま、楽だったけど」 名はエリオ。いや、今は、Uエリオと言うべきだろう。 「仕方ないなぁ。なのはちゃん達はそっちを片付けてよ。僕がこっちをやるから」 「分かった…」 Uエリオは勝手に宣言するとオウルイマジンLの前に立ち塞がった。 そしてクルリと一回転して一言。 「お前、僕に釣られてみる?」 「ざけんなぁ!」 こうして、二つの戦いの火蓋が切って落とされた。 《UエリオVSオウルイマジンL》 UエリオはオウルイマジンLを持ち前のスピードで撹乱していたが今一つ攻めきれない。 何故か?それは簡単だ。エリオは元々スピード型の為、防御力はそこまで高くない。その為相手が連射型の武器を使っている場合、接近が困難となるのだ。 つまり相手がガトリングという点と防御力さえあればいいのだ。 「やはり、今使える防御じゃ足りない…。エリオ、アレ使うよ」 『でもアレはまだ搭載されたばかりでテストも…』 「でも、やるしかないでしょ?それに上手くやればテストの代わりになるし」 『そうですね、やりましょう!』 エリオと話をしたあとUエリオは立ち止まり、魔力を集中させた。 「ハァァァッ、ストラーダ!」 『aurasystem set up』 その音声と共に放たれるは蒼きフリーエネルギー。それはアーマーへと変換、装着される。 オーラシステム、それはすなわち、電王のフォームチェンジの魔導師版フリーエネルギーを肉体の強化及びアーマーとして使用するというものである。 「さあ、いくよ!一度釣り上げかけた獲物は逃がしたくないんでね」 その声と共に腰につけられた四つのパーツを組み立て、長いロッドにする。それはデンガッシャーに酷似していた。名はオーラロッド。 Uエリオはロッドとストラーダを巧みに使い、相手にガトリングを撃たせない。 それは槍とロッドの蒼き二重奏。 右のロッドを避ければ左のストラーダが裂き、左のストラーダを避ければ右のロッドが突く。 一方的に攻めたてるコンビネーションであった。 一気加勢に攻めたて距離を少し取ると腰からパスの様な物を取り出す。すると腰にベルトの様な物がセットされる。 ベルトにパスをセタッチさせると電子音が響いた。 『fullcharge』 音声と共にロッドにチャージされるフリーエネルギー。 「ハァァァッ!」 Uエリオはフリーエネルギーがチャージされたロッドを振りかぶると気合いと共に投げた。 ロッドはオウルイマジンLを貫くと亀甲の網で動きを封じる。 そして、Uエリオはストラーダを構え、自身最速の魔法ソニックムーブを使用しオウルイマジンLへと突撃、そのまま激突する寸前で地面にストラーダを突き刺した。 超高速からの急激な減速。それにより発生する暴力的なまでのエネルギー。 それを全て自らの身体にのせ、UエリオはオウルイマジンLへと回し蹴りを放つ。 解放されたエネルギーはオウルイマジンLを爆散させた。 「フゥッ、終わった。さて、後はティアナちゃんを届けるだけか」 そう言ってティアナを抱き抱え医務室へと運ぶUエリオであった。 《なのは 電王GUNformVSオウルイマジンR》 さて、白き魔王と紫の狂人の戦いは一方的に戦いであった。 オウルイマジンRは右手をライフルからマシンガンに切り替え、乱射する。 しかし、掠めさえもしない。 電王は、ダンスのステップを踏むように飛んでくる弾丸を全弾かわしていく。 それは、まるで楽しむように…。 それでいながらさながら暴れ狂う龍のごとく無数のエネルギー弾を叩き込んでいた。 一方のなのははというと空中にて乱射された弾丸を天使が舞うかのようにかわしていく。 しかし、ひとたび攻撃に転じればたちまち悪魔の様な砲撃を放つ。 それは天地を支配する魔王のようで天を翔ける龍のごとく。 二匹の龍はもはや暴龍の如く暴れ狂い、オウルイマジンRを破壊しようとしていた。 「クソッ、クソッ、クソォォ!お前らはなんなんだ?」 「あなたは許されない。だから質問する権利はないから…」 「お前は僕達を怒らせた…。だからここで倒す!」 「だから何…ウグッ、ウググッ」 「うるさい…」 オウルイマジンRが喋ろうとした瞬間、桜色のバインドで口が塞がり喋ることが出来なくなった。 そのバインドはなのはが睨み付けながら発動させていた物。 そして、ここからが、怒り狂う暴龍のステージ。 「限定解除…」 『exceed mode』 全力のなのはの魔力のオーラはまさに白き魔王。 「許さないよ。絶対に」 怒り狂う電王の放つオーラはまさしく狂人。 二人はユラリとオウルイマジンRに近づく。 そして、なのはは幾重にもバインドを張り巡らす。 「いくよ、なのはお姉ちゃん…」 「うん、分かってる…。レイジングハート、カートリッジ全弾ロード…」 『cartridge load』 鳴り響くコッキング音。増大する膨大な魔力。そして精製されるは50発以上の魔力弾! そして、その魔法は放たれる。 『クロス…ファイヤァァーシュゥゥトォォ』 50発以上の魔力弾は全てオウルイマジンRへと一直線に向かっていた。 何とか避けようと動きまわる姿はまるで踊り狂う人形。 レイジングハートにマガジンをセットしたなのはとパスを取り出した電王は二人同時に己の得物をつきつけた。 「これで終わり…」 「決めるから…」 「ウンッウグッ!」 『最後いくよ、いい?』 「ウググ、や、め…」 『答えは聞いてない…』 「レイジングハート…」 『cartridge load』 「ディバィン…」 『fullcharge』 収束される魔力。セタッチされるパス。激しくうねる怒りのオーラ。それは即ち死刑宣告! 「バスタァァァッ!」 「いっけぇぇぇ!」 放たれる桜色の奔流と紫の光弾は一つとなり破壊の奔流とかす。 「ウアァァァッ!」 そして叫びをあげながら、オウルイマジンRを灰塵ときした。 「終わったね…」 「うん…」 「ティアナのことも気になるし、帰ろっか!」 「うん、分かったよ。なのはお姉ちゃん!」 戦い終わり、BJを解除したなのはと変身を解除したR良太郎は帰路へとついた。 夕日をバックに歩くその姿はまるで本当の姉弟のようであった。 「へぇ、私が倒れてる間にそんなことが…」 「うん、大変だったんだからね」 ここは医務室。ティアナはここで眠っていた。 傷が思ったより浅かったことと早めに治療したことが重なり大事にはいたらなかった。 そしてティアナはたった今、目を覚ましたのだ。 「でも、ティアナさん傷が浅くてよかったですね」 「ホント。ティアが倒れた時はどうしようって思ったんだよ」 スバルは本当に心配してたらしく、倒れた後、運んだ後もずっとついていた。 「もう、大丈夫だから」 「でもぉ」 「でもじゃない」 「本当二人は仲がいいね!」 二人が話していると、Uエリオが二人の様子を見て呟いた。 「でも凄かったなぁ、なのはちゃん」 「へぇ~、どんな風に凄かったの?」 「うん、なんていうのかなぁ。怖い?」 「怖い?」 「おい、亀公!珍しく気があうな」 ティアナとUエリオが話しているとMスバルが話しに入って来た。 「あれは、怖いよ。もしかしたら怒ったハナちゃんより怖いかも」 「あ、あぁ…、確かにな…」 「聞いた話何だけど、なのはちゃん、『白い悪魔』とか『魔王』とか呼ばれてるらしいよ」 「マジかよ…」 「でもよ、あれ魔王なんてもんか?そうだな『破壊神』とかどうだ!」 「先輩にしては格好いいね」 「だろ!」 『二人共、いい加減にして下さい』 『そうだよ!なのはさんは天使みたいな人何だから!』 「いや、それもどうかと思うぜ…」 「二人共、まったく…」 二人の話を聞き、ため息をつく、ティアナ。 ここで仮定しよう。 もし、この話をしなかったら… もし、もう少し時間をずらしていたら… この後、二人に振りかかる地獄はなかっただろう…。 しかし、不幸なことに偶然は重なり、二人の後ろには地獄が迫っていた…。 二人が話している途中、ティアナはふと二人の後ろを見た。 そして、目があった。恐怖の根源と…。 「あ、あああ…」 「どうしたの?ティアナちゃん」 「どうした、傷が痛いのか?」 「ふ、二人共。う、後ろ…」 「後ろ?」 「何がある…、あ、ああ…」 「先輩!?何が…、嘘、な、なのはちゃん!?」 二人の後ろ、そこには膨大な魔力と怒気を剥き出しにしながら、満面の笑みを向けている高町なのはの姿があった…。 「魔王?悪魔?あげくのはてには破壊神?」 「やべぇ!」 「もしかして、僕達危険なんじゃあ…」 「ティアナ。少し、こっちに来て…」 「は、はい!」 「お、おい、見捨てんのかよ!?」 「自業自得…」 ティアナはなのはの後ろへと行って、呟く。 それを確認し、いつの間にかセットアップしたレイジングハートをMスバルとUエリオに向けた。 「二人共、覚悟はいい?」 「ま、待てよ」 「答えは聞いてない。少し、頭冷やそうか…」 『ギャアァァァッ!』 その日、機動6課に二人の悲鳴と爆音が轟いた。 さて、これにて二匹の龍の闘争は終わり、機動6課に再び平穏が訪れる。 次回はそんな休日ともう一人の仮面の戦士の物語。 次回予告 ハナ「度重なるイマジンの襲撃。疲弊していく機動6課」 なのは「でも、そんな日々に訪れた一日限りの休日」 ハナ「そして、暗躍するイマジンの影と一人の少女」 なのは「二つは新たな出会いを呼ぶ」 ハナ なのは『次回仮面ライダーリリカル電王sts第十話「機動6課のある休日《前編》」お楽しみに』 Mスバル Uエリオ『二大魔王揃い踏み…』 なのは ハナ『何か言った?』 Mスバル Uエリオ『ヒッ!』 なのは ハナ『少し、頭冷やそうか…』 Mスバル Uエリオ『ギャアァァ!』 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/96.html
魔法少女リリカルなのはStrikerS第1巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第2巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第3巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第4巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第5巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第6巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第7巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第8巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第9巻 魔法辞典 StrikerSサウンドステージX 魔法・用語辞典
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/98.html
魔法少女リリカルなのはStrikerS第1巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第2巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第3巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第4巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第5巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第6巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第7巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第8巻 魔法辞典 魔法少女リリカルなのはStrikerS第9巻 魔法辞典 StrikerSサウンドステージX 魔法・用語辞典 StrikerSサウンドステージX キャラクター紹介 History of Belka
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1943.html
仮面ライダーリリカル電王sts第十話 「機動6課のある休日《前編》」 「最近、皆疲れてるんじゃない?」 「僕も、そう思う」 良太郎とハナは廊下を歩きながら話していた。 「最近、イマジンが連続して襲撃して来たから、休む暇もなかったから」 「それ以外にも訓練をしてるからね」 「そんなことないよ」 「そうかなぁ……てっスバル!?何でここにいるの!」 驚くハナ。そこにはスバルの姿があった。 「何でって、それは今日は一日お休みだから!」 「えっ、休み!」 「うん、お休み!だからこれからティアと街に行くんだ」 スバルの話によると、今朝の訓練にてなのはがこれまで訓練づけだったこと、そして度重なるイマジンの襲撃による疲弊などを考え休日としたらしい。 「それはいいんだけど…。何?その格好」 「変かな?」 「いや、変じゃないけど…、何かイメージと違うような」 ハナにここまで言わせたスバルの格好とは、黒の皮ジャンに赤いシャツ、黒のジーンズという、いうなればヤンキーの様な格好である。 「モモタロスが選んでくれたんだ!似合ってない?」 「似合ってるけどねぇ」 モモタロスのセンスを一瞬、疑ったハナであった。 一方、エリオはというとキャロが部屋から出て来るのを待っていた。 「遅いなぁ…」 『遅いなんて言っちゃダメだよ。女の子は時間がかかるんだから』 「そう、なんですか?」 『そうだよ』 「のわぁぁぁ!」 二人が話していた時、キャロの叫び声が聞こえた。 「この声は、キャロ!」 『行こう!』 「ハイッ!」 二人はそう言うと急ぎキャロの部屋に行き、扉を跳ね開け中に飛び込んだ。 「キャロ!だい、じょう、ぶ…」 『あ、ああ』 「ごめん!」 エリオはそう言うと部屋の外に出た。 それもそのはず、中には男物の和服を、着ている最中のキャロがいたのだから。 しかも帯は絞められておらず羽織っているだけで、胸などがほぼ見えている状態つまり半裸だったのだから無理もない。 普通は叫ぶのだが今はキンタロスが憑依している為、キョトンッとしている。 「何で驚いとるんや?別に見られてもなぁ」 『そ、それより早く着てください!』 「分かった、任しとき!」 どこか噛み合わない凸凹コンビであった。 さて、ところ変わってティアナの視点に移ろう。 ティアナはバイクを借りる為にヴァイスの元にいた。 ティアナにバイクを貸すため作業をしていたヴァイスはふと、気になることがあったので聞いてみた。 「借りるのはいいとしてよ、どしたぁその格好?」 「これはその…」 少し、言葉が詰まるティアナ。 ティアナの今の格好はグレーを基調とした服装に紫の染みの入ったグレーのキャップを被るというものである 「その、リュウタロスが選んでくれたんです!」 「へぇ~っ、すっかりお姉ちゃんだな!」 「な、そんなことありませんよ!」 『あ、お姉ちゃん照れてるぅ』 「ウッサイ!」 「ま、頑張れよ、お姉ちゃん!」 「もう、いい加減にして下さい!」 ティアナは少し顔を赤らめながらも必死に反論した。 その顔は、とても可愛らしかった。 「よし!これでいいだろ、それっ!」 そう言ってティアナにキーを渡すヴァイス。 ティアナはソレを受け取った瞬間、リュウタロスが突然憑いた。 「あのさぁヴァイス」 「どした?リュウタロス」 「ヴァイスって魔導師だったんだよね?」 「まぁな。どっちにしろ昔の話さ…」 「ふ~ん。じゃあさ、お願い聞いてくれる?」 「おう、俺に出来る事ならいいぜ」 「やったぁ!それじゃねぇ…」 このことがいずれティアナの身を救うことになるとは誰が想像しただろう。 頼み事を終えるとリュウタロスはティアナの中に戻った。 「ほんじゃ、相方が待ってんだろ?行って来い」 「はい、ヴァイス陸曹ありがとうございます」 「リュウタロスもな」 『分かったよ』 そう言ってスバルの元に行くティアナを見送り、ヴァイスは少し考えていた。 リュウタロスが頼んだことを…。 「こんな俺に頼むなんてなぁ…」 さて、ティアナはというと、スバルと合流し出発しようとしてると見送りになのはがやって来た。 「じゃあ、転ばないようにね」 「大丈夫です!前の部隊にいた時は、ほとんど毎日乗ってましたから」 「ティア、運転上手いんです。あ、お土産買って来ますね!クッキーとか」 「嬉しいけど、気にしなくていいから。四人で楽しく遊んで来なさいね」 「はい!」 『分かったぜ』 「行って来ます」 『行って来るよ、なのはお姉ちゃん!』 「あ、待って!モモタロス、言っておくけど」 『何だよ?』 「ケンカはしちゃダメだよ。ケンカしたら、分かってるよね?(満面の笑み)」 『お、おう…』 こうしてスバル達は出発した。 スバル達が出発した後、エリオとキャロそしてフェイトがやって来た。 「ライトニング隊も一緒にお出かけ?」 『はい!』 「はい、気をつけて」 なのはは笑顔で二人に答えたものの、後ろで心配そうにしてるフェイトを見て、苦笑した。 (フェイトちゃん心配しすぎ…) 「あんまり遅くならない内に帰るんだよ?夜の街は危ないからね」 『はい!』 『大丈夫だって、僕がいるしね』 『俺に任しとき!』 「ならいいけど…」 どちらかと言えばウラタロスに任せる方が心配なフェイトである。 だって、ナンパするのは目に見えているからだ。 「大丈夫だよ!ナンパしたら分かってるよねウ・ラ・タ・ロ・ス!」 『わ、分かったよ…』 「なのは、最近なんか吹っ切れた?」 「何も!」 なのはがウラタロスに念を押したあとフェイトはふと思ったことを聞いてみた。 しかし、ものすごい笑顔で返され深くは聞かないことにした。 一方、良太郎はというとシャーリーの元で、オーラシステムの説明を受けていた。 「オーラシステムというのはイマジンの持つフリーエネルギーを利用したシステムなんです」 「どういう意味ですか?」 「フリーエネルギーを変換、アーマーへと変形させる、言わば電王の変身システムと同じなんです」 「へぇ、そうなんですか」 「そういうことです!あ、データ取り終わったんでこれ、お返ししますね!」 そう言ってシャーリーから返されたのは、データ解析の為に貸していたケータロスであった。 「ありがとうございます」 「いえ、こちらこそ色々参考になりました」 さて、この後、スバルとモモタロスがアイス十段重ねに挑戦したり、ティアナがダンスを披露したりするのだがそれはまた別の話。 「はぁ…はぁ…」 ここは地下の排水路。一人の少女が歩いていた。二つのケースを引きずりながら…。 「きゃ!」 少女は足を滑らしてしまった。そして、ケースの一方を落としてしまった。 「はぁ…はぁ…いかなきゃ…」 その時、目の前の通路から少年が現れた。 「きゃ!」 「おっと、大丈夫か?」 少女は転びそうになったが少年が支えた。 「あなた、誰?」 「俺か?俺は…」 「み~つけた。探したんだぜ!」 少年が名前を名乗ろうとした時、二人の目の前にオクトイマジン壱式が現れた。 「イマジン!?逃げろ!早く!」 「うん…」 そう言って逃げる少女。オクトイマジン壱式は追おうとするが少年が立ち塞がる。 「何してくれてんだぁ、あ~ん!」 「へん、かかってこいよ!」 その声と共にベルトを取り出し腰に巻くと、カードを取り出し構えた。 「変身!!」 『Ultair Form』 音声と共に少年の姿は変わる。緑と黄色のアーマーが装着され、牛の頭のようなデンカメンが装着される。 そう、この少年も仮面ライダーである。名はゼロノス。 「最初に言っておく!俺はか~な~り強い!!」 「フザケンナァ!」 ゼロノスはオクトイマジン壱式と戦いを始めた。 さて、その頃、エリオ(少しボロボロ)はふと何か音が聞こえた気がした。 「何か聞こえなかった?」 『そう言えば、何か聞こえたような…』 「うん、そんな気がする」 『行って見るしかなさそうやな』 「あそこだ!」 そう言って駆け出し、路地裏へとやって来た。そこには! 「女の子?」 『怪我してるみたいだね』 そこにいたのはボロボロの少女。Uエリオは少女の近くに行き、呟く。 「こんなに小さいのにね…」 後ろではキャロが全体に連絡を送っていた。 一方地下ではゼロノスとオクトイマジン壱式の戦いが続いていた。 オクトイマジン壱式は右手をフィンガーバルカンに乱射するもののゼロノスのスピードに押されていた。 「ちょこまか動くなぁ」 「ウッセェなぁ、だったらこれでどうだ!」 声共にゼロガッシャーサーベルモードで切りつけていく。 軽快な動きで一方的に。 「テメェ!」 体当たりを仕掛けるオクトイマジン壱式だがゼロノスは避け、すれ違いざまに切り裂いた。 「グアァッ!テメェェ!」 「トドメだ!!」 『fullcharge』 ベルトの左上のボタンを押し、エネルギーをチャージ。 そしてエネルギーがチャージされたゼロノスカードをゼロガッシャーにアプセットした。 「ウオォォォ!!死ねぇ!」 真っ向から突撃してきたオクトイマジン壱式をゼロノスは真っ二つに切り裂いた。 必殺技「スプレッテンドエンド」である。 オクトイマジン壱式は身体にAの文字が刻まれ爆発した。 ゼロノスは変身をといた。 「たくデネブの奴どこ行ったんだ?それにここ何処だよ…」 少年、桜井侑斗は呟いた。 次回予告 ハナ「激しさを増す戦い。謎深き少女」 はやて「そして、新たな仮面ライダー」 ハナ「物語は風雲急を告げる」 はやて「次回仮面ライダーリリカル電王sts第十一話「機動6課のある休日《後編》」や」 ハナ「お楽しみに!」 はやて「なぁ、最近出番少ないんやけど…」 ハナ「大丈夫。出番はあるから、落ち込まないで」 はやて「うん、ありがとう」 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1847.html
魔法少女リリカルなのはGoodSpeed クロス元:スクライド 最終更新:08/02/28 Chapter1<<Erio>> TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1279.html
それは、こことは違う世界の片隅のお話。 鬱蒼とした森の中を、少しでも早く抜けようと足早に歩を進める三つの人影。 おや、よく見るとコウモリらしき小さな宙を舞う影もあるようで。 「……おい、ニジュク、サンジュ」 何と、そのコウモリは喋れる様子。 そして、呼ばれた二つの小さな影が、 「なぁに、セン?」 「どうしたの、セン?」 くるりと喋るコウモリ――センに振り向きます。 エプロンドレスを身につけた、浅黒い肌に雪の様な白い髪を持つ、くりくりと大きなエメラルド色の瞳が印象的な、可愛らしい幼い双子の女の子たちでした。 ――そうそう、猫の様な耳と尻尾も印象的でしたね、忘れてました(苦笑)。 「お前等、何時にも増して、今日は何て言うか、……足取り軽やかじゃねーか?」 訝しむ様に問いかける、セン。 「そうかな?」 黒い耳と尻尾を持つ、ショートカットのニジュクは言いました。 「そうなのかな?」 白い耳と尻尾を持つ、三つ編みを二つの輪っかにしているサンジュは言いました。 「「クロちゃ(ちゃん)は、どうおもってるの?」」 二人は、すぐ前を歩く人影に振り返って尋ねました。 それは、何とも奇妙な人影です。 まず、葬式にでも行くかの様に全身を黒ずくめにしています。 次に帽子。これまた黒くて、一見するとシルクハットのようですが、天が高くて鍔も大きく広がっていて、そのおかげで顔の殆どが隠れてしまってます。 そして、何よりも印象的なのが、その些か小さい背中に背負っている古ぼけた棺桶。只でさえ不吉な雰囲気に決定的な何かを与えてしまっているのは、間違いありません。 しかし、その人影――クロは、無表情に、そして無口に歩いています。 「「ねぇ、クロちゃ(ちゃん)ッッ!!」」 「……そうだな」 その歩みを些か遅くして、クロは振り返りました。 愁いを含んだ黒い瞳、大きな黒縁の丸眼鏡、長い黒髪とまだ大人に成りきれない顔が、帽子の影から現れました。女の子のようですね。 「確かに、昨日よりは、元気に歩いているかな。疲れ知らずって言うか」 「だろ。何つーか、こう、嬉しいことがあって、それで心ここにあらずッつーくらい、浮かれまくってるような気がするんだが……?」 少し表情を崩したクロの前で、難しげな顔で腕を組むセン。あっ、組んでるのは翼でしたか。 「そうかな?」 「そうなのかな?」 そう言ったニジュクとサンジュの顔は、しかし、まるで満開のひまわりを思わせる笑顔だったのでした。 「何か、昨日のあの町であったのかい、嬉しいことでも?」 「「ううん、ぜんぜん」」 クロは、あっさりと否定されました。 「でもね」「でもね」 ニジュクとサンジュは言います。 「なにかが、あるの」 「なにかが、おこるの」 「「なにかはわからないけど、なにかうれしいことがあるの(おこるの)」」 二人とも、とてもとても嬉しそう。 「……そうか」 そう言って、クロは歩みを少し速めます。 小さな影も、つられます。 「やれやれ。……まっ、何時もみたく「つかれたー」「おかしたべたーい」って駄々こねられるよか、ましだわな」 一言多いコウモリです。 しかし、二人は気にしません。 いつもなら文句を言う二人が、気にせず歩いています。 その様子に不気味さすら覚え始めたセンを、全く相手にしません。 (なにかが、あるの) (なにかが、おこるの) (*1) 鬱蒼とした森の中を、その不気味な雰囲気をものともしない二人の小さな胸の中で、 これから起こるであろう何か「とてもうれしいこと」への期待が、大きく大きく、ふくらんでいったのでした。 今は、六月の初頭。 日本ならばそろそろ空気が湿り気を帯びてきそうな時期だが、ここはミッドチルダの首都・クラナガン近郊のとある自然公園。 日本のものより湿り気の少ない風が、肌に心地良い。 天気は晴れ。快晴とまではいかずとも、綿飴のような白い雲がぷかぷかと空に浮かぶ様子は、却って空の瑞々しい蒼さを際だたせているように、ヴィヴィオには見える。 その傍らには、大好きなママ――高町なのはがいる。 「……ママ」 「なぁに、ヴィヴィオ?」 「そら、とっても青いね」 まだまだ小さなヴィヴィオは、なのはのすらりとしつつ大きくて温かな手を、その小さな手でぎゅっと握ってつぶやいた。 「そうだね……」 そう答えて、なのはも空を見上げる。 その蒼さは、なのはの目にはとても眩しく写った。何故かは解らなかった。 ただ。 (……こんなに穏やかな日が、迎えられるなんて、思いもしなかったな) ふと、そんなことを思う。 あのJS事件が終決し、事後処理も一通り片付き、機動六課が解散してすでに二ヶ月が経つ。 六課の仲間達も、元の職場に復帰したり、新しい道に進んだりして、それぞれ忙しい日々を過ごしていると聞く。 なのは自身も正式にヴィヴィオを養女として後、教導隊に戻って後進の育成に当たる忙しい日々。 ヴィヴィオも、本人の希望で聖王教会系の魔法学院に入学、勉強に遊びにと忙しい(……かな)日々を送っている。 だから、最近は少しヴィヴィオは寂しかった。 解っているけど、もう少しママと一緒に過ごしたい。 なのはも、そんなヴィヴィオの気持ちは解っていた。 そして、まだ幼かった頃の自分と同じ気持ちにさせたくないと思っていた。 だから、今日はピクニック。 この日のために、なのはは仕事を頑張った。 そして、二日間の確実な休みを取得した。 本当は、ユーノも来るはずだったが、急な仕事でキャンセルとなったのは、少し残念か。 でも、 (この子には、そんなの関係ないよね……) 残念なのは、なのはだけ。 いや、ヴィヴィオも少し残念であった。 が、それ以上に、 (なのはママと、一緒にいられる♪) そっちの気持ちの方が、強かった。独り占めできることが、嬉しかった。 それにしても、陽の光がこんなに眩しいのは。 (ああそうか……) 太陽が空の一番高いところに差しかかろうとしているのもあったから。つまり、なのはがもう片方の手で持っているバスケットの出番と言うこと。 なのはは、ヴィヴィオに尋ねる。 「ねぇ、おなかの虫は何て言ってる?」 「えっ、……んーと、ね」 ぐぅ……。 「……あはは」 「うん、結構歩いちゃったし、もうそろそろお昼になるし、お弁当、食べようか♪」 そう言って、バスケットを高々となのはは持ち上げた。 「ハァ~イッ。やったぁッッ!!」 バンザイして、喜びを現すヴィヴィオ。 なのはにはその笑顔が、頭上の太陽よりも眩しく輝いて見えていた。 それから、適当な木陰にシートを広げ、二人はお弁当を広げてランチタイム。 「ママ、とってもおいしいッ!」 「そう? ありがと♪ 今日はヴィヴィオのために頑張っちゃったから、ママ、とっても嬉しいな」 朝早くに起きて、なのはが愛娘のために心を込めて作ったサンドイッチは、ヴィヴィオには愛しいママの温もりが感じられる、優しい味がした。 楽しいランチタイムを終え、ヴィヴィオは木陰の側を歩き回り始める。 様々な小鳥のさえずり、頬を優しくなでる風、徐々に深みを増しつつある林の緑、少し離れた小川のせせらぎの音、 道ばたに咲いている小さな花、等々、まだ幼いヴィヴィオにとって新鮮な発見の連続。 「ねえママ、このお花始めてみたけど、とってもきれいだね」 「そうだね、ママも初めてみるけど、薄いピンクの色が可愛いね……」 道ばたで摘んだ花をなのはに持ってくるヴィヴィオ。 それをなのはに渡すと、ニコニコと笑顔を振りまきつつ、また別の場所に向かう。 そのぽてぽてと走り回る姿に、なのはは顔を綻ばせっぱなしだった。 そんななのはは、木陰のシートにランチタイム後もずっと座っている。 歩き疲れと、仕事疲れのためか、些か体が重い感じがする。どうやら、そのことをヴィヴィオも見て取ったらしく、 「ママはここで座ってて。ヴィヴィオ、ちょっとそこのお花見てくるから」 そう言われてから、ずっとぽてぽてと走り回るヴィヴィオを、樹にもたれつつ見守っている。 そして、ちょっと危なっかしい様子にハラハラしながら、でも自然とその頬笑ましさに癒されている自分に気付く。 幼い娘に気を遣わせてしまったという、ちょっとした罪悪感。 「少し、悪いことしちゃったな……」 でも、少し、嬉しい。 「ありがとう、ヴィヴィオ」 まだ元気よく走り回るヴィヴィオを眺めながら呟く。 それにしても、今日は本当に風が優しい。 初夏を過ぎて更に強くなりつつある日差しも、木々の梢を通すとかなり和らぐ様子。 そして、それはある種の誘惑への誘い。 「本当、ここの所、忙し、かっ、た、し……」 流石の『管理局のエース・オブ・エース(または(自主規制))』も、睡魔の誘惑を振り切ることは出来なかったようだ――。 森の鬱蒼とした様子は、まだまだ続くようです。 おや。 「あっ」 「あかるくなってきた」 先頭を行くニジュクとサンジュは言いました。 「ふむ、ようやく新しい村かな」 「ふえー、ヴァルキアの街から歩いて三日、……やっと着くかぁ。えーと、次、何て村だっけ?」 クロはガサガサと地図を広げました。 「……テルヌーゼン、さ。割と大きな村らしいね」 「へえ。てことは、……おい、そこの二匹、今日は特に俺等から離れ、って」 ニジュクとサンジュは走り出しました。 「言ってる側からこれかよッ! おいッ! 離れるなッつってんだろッ! てか、走るなッ、そこの二匹ッッ!!」 センの喚きも耳に入りません。 「ふふッ、やれやれ」 クロは地図をしまいつつ、肩をすくめました。 ニジュクとサンジュは、走ります。 ひたすらに、一心不乱に、ニコニコと。 森の木立から溢れ出てくる、眩しくも柔らかな光に向かって。 二人は、走ります。 「……ママ?」 また別の花を手にしてなのはの下に戻ったヴィヴィオは、樹にもたれて静かな寝息を立てている彼女を見つけた。 「ママ……」 なのはの頬を、軽くつついてみる。 「う、ン……」 反応はあったが、目を覚ます様子はない。 「……」 どうしようかとヴィヴィオは逡巡する。 その時。 「……ヴィヴィオ、あんまり、……遠く、行っちゃ、ダメ……」 なのはの寝言。それに一瞬驚いて、しかし、 「起こしちゃ、……悪いかな」 そう呟いてヴィヴィオは、なのはの傍にちょこんと座った。 (かまってくれないのは少し寂しいけど、傍にいるだけでも……) そんなヴィヴィオの目の前を、不意に横切った柔らかな光の塊。 「えっ、……何?」 手の届かない距離まで離れたそれは、金色の光を出している、一匹の蝶だった。 「きれい……」 思わず見惚れるヴィヴィオ。 その蝶も、ヴィヴィオのことをどうやら見つめている様子。 しかし、不意に踵を返してまた離れ出す。 「あっ、……待ってッ!」 思わずヴィヴィオも、つられるように後を追いだした。 公園内の林の中を、光り輝く蝶が飛ぶ。 それを追って、ヴィヴィオは走る。 ひらひらと蝶は飛ぶ。 しかし、ヴィヴィオは追いつけない。 手を伸ばす。 しかし、もう少しの所で届かない。 何かがおかしい。 その蝶はただ、ひらひらと飛んでいるだけなのに。 でも、届かない。 (何で……) ヴィヴィオは、思う。 (あのちょうちょを追いかけてるのかな……) 追いかけながら、思う。 (どうして、追いかけてるのかな……) 息を切らせつつ、思う。 (何で……) 一心不乱に、走りながら。 (どうして……) ただただ、蝶を追いかける。 「……あっ」 そして。 「もしかして……」 ふと、気付いた。 「あのちょうちょに、呼ばれたの、かな……」 そう呟いた刹那。 「――んっ」 視界が開け、それまで林の木々で遮られていた陽の光が、一気に、大量に円らな目になだれ込み、ヴィヴィオは思わず目を細めた。 そして、すぐに慣れ始め、徐々に目を開けてみた。 そこは、一面、色とりどりの野草の花が咲き誇っていた。 草原だった。 辺りを見渡す。 かなり開けている。視界を遮るものは乏しい。 距離にして三百メートルくらいか、左手前方に小高い丘があって、その上で人が二人、立っているのが見える。 一人は、何かを投げているようだった。そしてそれは、その人に戻ってきた。ブーメラン……か。 「――あっ、ちょうちょ、は……」 不意にあの蝶のことを思い出し、きょろきょろと辺りを見回した。 「いたッ!」 すぐに見つかった。最も、光っているのだから見つからぬはずもないだろうが。 件の蝶は、少し離れた、ちょっと他のより少し茎を伸ばした花の上で、そのストローのような口をのばして蜜を吸っていた。 そっと近づいてみる。 蜜を吸うことに夢中なのか、逃げる素振りを見せない。 更に近づく。 逃げようとしない。 いよいよすぐ傍まで来て、顔を近づけてみた。 全く、逃げなかった。 「……よし」 意を決し、ヴィヴィオは手を伸ばした。 (ママに見せたら、喜んでくれるかな) そんなことを思いながら。 そして、そっと蝶を摘んだ、その時。 ニジュクとサンジュは走ります。 光を目指して、走ります。 そして。 「「とおちゃ~~~~~くぅっっ!!」」 そう叫んで、森を抜けようとした、その時でした。 「えっ……ッ!」 蝶はヴィヴィオの指先で光を急に増し、 そして、光のボールとなり、爆弾が爆発するように、弾けた。 光が、二人を包み込みました。 「えっ?」 「あれっ?」 そして、勢いよく、弾けたのです。 そして。 そして。 物語は動き出す。 二つの世界が、交わります。 さて、物語の行方は、如何なる物か。 しかし、それも旅人たちには、思い出の一つに過ぎなくなるのでしょう。 『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』 OVERTURE・了。 目次へ 次へ